内山淳平(Dr. Jumpei Uchiyama)
2008年度エンデバー研究フェローシップ受賞者 / 高知大学医学部 助教授
留学先: ボンド大学 (Faculty of Health Sciences & Medicine, Bond University)
専攻: Ph.D (Medicine)

留学先としてのオーストラリアの魅力
オーストラリアは、雄大な自然、そして非常に人気のある観光地を数多く有しています。世界有数の多民族国家であるため、英語を第二外国語とする人々も多く、我々日本人に対しても比較的寛容に接してくれます。また、オーストラリア人の穏やかな気質、銃規制による治安の良さ、学業以外のアクティビティーが盛んな点など、魅力ある点が数多くあり、他のどんな留学先よりも勝っていると思います。特に、大学・大学院留学においては、世界1・2位を争う高いレベルの大学教育の提供、他の国々に比べ安価な授業料、また、その素晴らしい生活環境に魅了され、世界中から多くの学生が留学しています。それゆえ、オーストラリアは、非常に素晴らしい留学先の一つでもあります。
私は、オーストラリア大学留学を通じて科学研究者を目指すことを決意し、高知大学大学院博士課程に進学しました。幸運にも、博士課程在学中に、「2008年度エンデバー研究フェローシップ」を受賞し、6ヶ月という短い期間ですが、幸運にもオーストラリアへ研究留学の夢を叶え、高知大学とボンド大学という小さい規模ではありますが、非常に良い科学研究交流を行うことができました。
オーストラリアの科学研究

オーストラリアの研究は、独自に発展した多文化・特有の芸術をはじめ、固有の自然、豊富な資源を有するため、非常に創造的かつ独創的です。科学研究分野では、ノーベル賞受賞者マーシャル博士によるピロリ菌発見や抗インフルエンザ薬の創薬(i.e., リレンザ)など、オーストラリア科学研究のレベルの高さには目を見張るものがあります。
オーストラリアの研究スタイルは、日本のように長時間ラボ働くことを美徳とせず、短時間に効率よく仕事をするのが普通です。夕方6時には、ラボは閑散とします。日中は、学部学生、大学院生、ポスドク、教員達の出入りが激しく、様々な人間たちの研究に対する思想や生き方も見ることができます。一律一様の我々日本人にとっては、非常に刺激的な体験となると思います。また、教授であろうと、学生であろうと、非常に身近に話しができることは、日本の研究室にはない醍醐味です。また、日頃から高いレベルのプレゼテーション能力や文書作成能力を要求されるため、研究者としてのトレーニングを積むことが出来ます。さらに、主体性を非常に重んじるため、比較的自由に自立して研究を遂行することもできます(ただし、ボスによりますが…)。それゆえ、国際的な研究者になるべく最高のトレーニングを受けることが出来ます。
オーストラリア留学に至った経緯
私は、オーストラリアでの大学生時代に受けた教育のおかげで、博士課程2年目には学位論文を仕上げることができました。当時、博士号取得者余剰による博士号取得者のワーキングプアに不安を抱いていました。それゆえ、自分の研究者としての資質を試せないか、また、何か自分が行なった形跡は残せないかと考えていました。そんな折、以前から知り合いであったボンド大学医学部人間生理学講座Russ Chess-Williams教授や指導教官であった高知大学医学部小児思春期医学講座の脇口宏教授に相談し、高知大学大学院在籍中にも関わらずRuss先生の下で研究をすることが許されました。親日家でもあるRuss先生は、過活動膀胱という病態に関して大変注目を集める研究者です。そんな一流の親日的な研究者の下で研究できることは大変光栄なことでした。エンデバー奨学金は、Russ先生にご相談し、何とか申請をするに至り、非常に幸運なことに受理をして頂きました。行なった研究は、高知大学大学院で習得した技術を膀胱生理学研究に生かすというものでした。

留学で学んだこと
私の場合、オーストラリアの研究活動で学んだものを一言で言うと、「心の余裕」です。日本では、多くの人が仕事の成果を追い求めるゆえに、心のゆとり無き精励恪勤に陥る傾向にあると思います。オーストラリアの研究スタイルや生活環境を通じて、ゆとりある気持ちや研究に対する姿勢を学びました。ゆとりを持って仕事をすることで、生活・仕事すべてが効率よく回転することを身をもって体験することができました。
エンデバー奨学金での留学期間が6ヶ月という時間制限がある中、異文化・異分野で仕事をすることは非常に不安でした。しかし、この「心の余裕」を持ってやることで、何とか仕事を形にすることが出来ました。また、諸問題が生じ、窮地に立たされた状況でも、「今何ができ、何が大切か?」を柔軟に考えることで、解決策は必然的に見つかることも学びました。これは、「人生を楽しみ、人間らしく生きる」というオーストラリア人の生き方より学ぶことができました。
課外活動では、ブラジリアン柔術を通じて、健康に対する意識やレジャーの重要性も認識することができました。当たり前のことですが、楽しみながら運動すれば、ストレス軽減・健康な体を作ることができ、健全な生活を手に入れ、至っては仕事の効率化を図ります。また、課外活動を通じ、多くの人たちと出会い、世界観を広げることが出来ました。プロスポーツ、ビジネス、建設業、IT、救急医療、院内感染症、文学、法律と本当に多様な分野の人々と出会い、普段聞けないような話を聞く機会にも恵まれました。
これからオーストラリアへ留学する人へ
皆さん様々な目的で留学すると思います。忘れないで欲しいことは、多くの失敗はありますが、一生懸命前向きに生活、勉強、仕事、レジャーを頑張ることです。それを通じ、多くの出会いや新たな発見があると思います。私の体験談は、ほんの一例です。自分なりのオーストラリアを見つけ、この素晴らしい国を「第二の故郷」と胸を張って言ってください。
最後に
エンデバー奨学金でお世話になりました駐日オーストラリア大使館、オーストラリア政府教育雇用職場関係省、高知大学医学部事務室の方々、並びに、研究でお世話になりました高知大学医学部微生物学教室の大畑雅典教授、松崎茂展准教授、小児思春期医学教室の脇口宏教授、ボンド大学医学部のRuss Chess-Williams教授、また、現地での生活をサポートして下さいました親友でもあるAxis 柔術アカデミー ゴールドコースト代表Jason Roebig氏にこの場を借りて厚くお礼を申し上げます。